12歳、夏、私。

 

「ねぇ、ひかりって小林君と付き合ってるの??」

私とまーくんは中学生になった。

といっても小学校と同じ区にある中学校だから小学校とほとんど同じメンバーだ。

だからクラスの雰囲気が小学校の頃と変わらないのである。

だから今小学校で一緒だった人なら誰もが知っていることを改めて聞かれて正直びっくりしている私がいた。

しかしながら、今質問しているのは違う小学校からきた子で知らなかったのは当たり前のことだと自分に言い聞かせる。

「うん、そうだよ」

私はあっさり答える。

すでにみんなが知っているというのは自意識過剰かもしれないが元クラスメートは全員知っていることなので隠す理由はない。

「うっそ!!私絶対ひかりより進んでると思ったのに!?」

彼女、持田あゆは目を零れんばかりに開き大げさに驚いて見せた。

「なんとなくそうかなぁとは思っていたけどねー。でもひかりってどう見てもそういう事にうとそうだと思ったのになぁ」

ふんふんと一人で納得した顔をする。

あゆとはまだ中学校始まってからの短い付き合いだがなんとなく息が合って一緒にいる。

「それで??ファーストキスとかちゃった???」

真っ直ぐな質問に私はどきまぎしてしまった。

こういう質問は何度かクラスメートとか友達に聞かれたりはしたけれど、あゆのようにずばっと聞かれたのは初めてだ。

「ないよ!ないない」

私が慌てて答えると

「ほんとうにぃ〜??」

と言いながら心なしか残念そうに見えた。

「付き合ってるんならすぐにしちゃうもんかと思ってたー。でもさ、そういうことしてないなら具体的に付き合う前と何が変わったの???」

何が変わったのと聞かれて私はドキッとする。

変わったのは周りだけであって私達は特になにか変わったところはない。

確かに少しまーくんの私への態度が優しくなった気もするけど特別何かが変わったわけでもなかった。

小学生の時のように一緒に下校するし、私の家で一緒に夕食食べたり、私の親が遅くなる日は帰ってくるまで宿題したり遊んだりすることもかわってはいなかった。

私はこれでいいんだと思っていたしまーくんも何も言わないから気にしていなかったつもりだったけど、じつは心の中で気になっていたのかもしれない。

これでいいのかなと。

今思うとこのとき私は焦っていたんだ。

まるで恋人らしくないと言われているようで。




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